2012年 10月 14日

犬島アートプロジェクト 【精練所1】

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犬島プロジェクト第二弾を書きます!(ネタバレがあるので、注意です)

まず概要から

 この精錬所のプロジェクトの見学コースは二つのゾーンに分かれており、

一つは精錬所跡の煙突を利用した美術館の観覧、そして、もう一つは90

年前に稼働していた精練所跡を自由に見学するというものです。

今回は美術館の感想からです

『あるものを生かし、ないもの作る』

プロジェクトのコンセプトです


理解できるようでできない言葉、是非、設計者本人から真意を聞きたいと

ころですが、その言葉を聞き考えたことは、現存する煙突で館内の冷暖房

換気を煙突効果で機械に頼らず自然の力を利用、精錬所の歴史、遺産、

これがあるもの?

いいえ,もっと深い意味があるはず。

ないものを作る?

 これがよくわからなかったのですが迷路?鏡のギミック?三島由紀夫の

書斎部品と石に水をはった鏡の展示?

案内員さんが、何回もこのフレーズを言うので自然に覚えました。

私が感じたことは3点

  ・避難経路のあり方

  ・観覧者に対しての説明・案内の仕方

  ・美術館がどうあるべきか

の疑問と、どのようにすれば良いのか?

 この美術館は案内員さんがつき説明をしながら、十数人が一つのグル

ープになって美術館を周る仕組みになっています。そのひとかたまりの前

後に案内員さんが行ったり来たり、 一人になったり二人になったり、扉を

閉めたり開けたりと、大忙しです。後ろの案内員さんは、一つのグループ

がそれぞれの展示スペースに到達すると、その空間の入り口のドアを閉

めて密室にしていきます。 グループをそれぞれ移動させ説明をしていき

ます。人数制限をすることで、観覧者が過密にならないようにする為の配

慮だそうです。そして、木材が主体の内装に傷をつけない為に観覧者を

ある程度監視するためであるようです。

観覧者が自由に観覧できないのです

 しかし、様々な理由でそうするのも仕方のないことかもしれませんが、

私は最後尾だったので、監視されているようで(黙って背後につかれると

落ち着かない私の性格上そう感じたのですが、気にならいない人もいる

でしょうね。)落ち着いて観ることができませんでした。

 次に、迷路のような内部を歩いて行くと、 煙突効果を利用した風の流れ

る騒音 (失礼!爆音) がします。 精練所らしさといえばそうなのかもしれ

ませんが、 美術館らしからぬ危険な匂いを感じます。

これが狙いなのか

(解説)その展示は鏡を利用した迷路の作りで、方向感を失うようになって
おり、進行方向の正面には鏡に映しだされた実際の空を、後ろを振り返る
と燃えたぎる太陽の映像を観ることができます。鏡のマジックになっている
のです。通路の幅員は2m程で、天井の高さは2.5m位、床壁天井は真っ
黒でした。

 案内員さんはグループ全員が見終わるまで待ってくれません。自身の説

明が終わると足早に引率をしていきます。最後尾にいた私は次の部屋に

ついた瞬間展示を観る間も無く、 移動をうながされましたが、まだ観たい

人は次のグループと合流してくださいとのことで残ることにしました。

 すると出入り口の扉が閉められてしまい、私と友人の二人だけになって

しまいました。密室に軟禁された気分になり、とっさに、何かあった時どこ

からでればいいのか探している自分に気づきました。扉がどこにあるかわ

からないくらい薄暗い空間で、まるで昔遊んだことのあるファミコンのRPG

の中にいる気分です。 前も後ろにも行けない、どうしよう? 抜け道は?と

いうような感じでした。次のグループが何分後に来るのかわからず、 アナ

ウンスもないし、不安になりつつも誘導灯を探すもどこにもありません。作

品鑑賞より避難経路を探している私がいました。

本当に怖かったです!

(解説)私を恐怖に陥れた密室は、10m×10m高さ4m程の暗闇の空間
で、 壁や天井を認識し難い状態にっています。映画館やプラネタリューム
みたいな感じです。 故三島由紀夫氏の書斎の建具や室内の部品を天井
からワイヤーで吊るし≒3m位の立方体を構成した壁のない室内パーツの
オブジェが空中に浮かんでいて5m×5m高さ50cmくらいの巨大な御影
石を花器としたように水が張ってあります。また、4面の壁面中1面だけに
、玄関や飾り窓が設置され、背面よりライトアップされた灯りにより闇夜に
浮かぶ一軒家の玄関前のようであり、洋風チックな部品と相まって、昭和
初期のノスタルジックな雰囲気を醸し出しています。その窓から漏れる明
かりかりが池に反射し空中に浮かんでいるオブジェの輪郭を浮かび上が
らせるのです。幻想的であり、懐かしさを感じさせる展示でした。


 さて、次のグループがやっと来て、合流。ここでちょっと安心。次の部屋

は狭く、数人入るとギュウギュウ詰めで、足を踏んだり、踏まれたり。混雑

度と圧迫感は充分に感じることはできますが、閉所恐怖症の方は要注意

ですよ!ここでも十分作品を観た気分になれず、やっと外に出ることがで

ました。

ふぅーとため息

(解説)四畳半ほどの和室の空間の対面の二カ所に両聞き分け戸が設け
られていて、引き戸の無い壁面に観覧者が二手に分かれ列をなし身を寄
せます。その時は真っ暗です。整列を案内員さんが確認するとその引き戸
が開かれ、明かりと共に立っている観覧者の体に原稿用紙に並べられた
赤い文字のようなタテ書きの文章が映ります。体の曲面で変形する 5㎝
程の文字がゆらぎゆらいでおりました。不気味でした。

 今まで、いくつもの美術館に行きましたが、良くも悪くもこのような美術館

は初体験です。作品に対しての想いを巡らせる時間もありませんでしたが

、職業的に色々考えることができたし、多くのヒントも貰えたし、気づきも与

えてくれたから良しとします。

 しかし、後々観覧する人の為に、観やすく安全な順路の工夫、コンセプ

トを生かした案内員さんによる適切な見学についてのアナウンスと誘導 、

何よりもゆっくり鑑賞できない見学スケジュールに関して、改善を望みた

いものです。と、勝手なことばかり書きましたが、きっとそれらは少しの運

営の方法の工夫だけでできることと思います。すべての人とは言いませ

んが、それにより多くの方が満足してもらえると思うのですが。いかがな

もんでしょう?
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by pinkyarc | 2012-10-14 21:52 | 建築探訪


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